10月28日、愛川町ラビンプラザで開催の「半原歴史講座」に参加しました。
講座テーマは「江戸城普請と矢内匠家」。
講師は「半原宮大工矢内匠家十四代曽孫弟子」の鈴木光雄さんです。
鈴木光雄さんについて
講師の鈴木光雄さんは、半原生まれの半原在住。
若くして半原宮大工に弟子入りされ、その現場をリアルに経験された最後の方。いまも現役の大工としてご活躍中のかたわら、半原宮大工研究をライフワークとされています。
私たち(一社)半原宮大工集団の活動もいつも暖かく見守っていただいていており、今回の講座にもお声がけくださいました。
半原宮大工の江戸城普請
鈴木さんは、年に1〜2回程度地元愛川町で「半原歴史講座」の講師を務められ、半原宮大工の歴史や活動をご紹介されています。
NHK大河ドラマ「どうする家康」放送にちなみ、今回は「江戸城と半原宮大工の関係」についてのお話でした。
半原宮大工集団は、江戸時代後半の約100年間にわたり江戸城普請の「作事方」を務めました。
当時、江戸城普請に携わるのは実力と信頼を認められた限られた大工棟梁だけであり、ステータスでもありました。
半原宮大工の棟梁は「弟子の大工集団を率いて、半原から徒歩で2日かけて江戸城へ向かった」(鈴木さん)そうです。
会場では鈴木さん所蔵の「江戸城西の丸」の図面も展示されました。半原宮大工が江戸城普請に携わったことを実証する貴重な史料です。
江戸城西の丸図面。色塗り部分が半原宮大工の担当箇所と考えられる
半原宮大工の多彩な建築
半原宮大工集団の特徴の一つが、手掛けた建築の多彩さ。寺社建築はもちろんのこと、お神輿もたくさん作っています。
一方で、小田原城や江戸城などの城郭・御殿建築に携わるなど、大規模な公的建築プロジェクトを成し遂げる実力も持っていました。
後に半原宮大工集団が明治政府や自治体からさまざまな近代公共建築を請け負うのも、こうした江戸時代以来の実績が考慮されたためと思われます。
大工道具の展示解説も
鈴木さんの講演会ではいつもさまざまな大工道具の実物も展示され、受講者にとって大きな楽しみとなっています。
大工道具の説明をする鈴木さん
「宮大工の作った神輿は、きちんと分解・修復できるように作られている」「水車のような高い精度が必要な造作も、宮大工は確実にこなした」などさまざまなエピソードに話がハズみ、楽しい講座となりました。